水と農業 · 香川県と高知県

香川のため池と高知の川、農業の水をどう確保する?

雨が多ければ、農業用水にも困らないのだろうか。四国山地をはさんで雨の降り方が異なる香川と高知では、ため池や用水路が農地への給水を支えてきた。雨をためる工夫と、川から引く工夫には、必要な時と場所に水を届けるという共通の目的がある。

高松は1,150.1ミリ、高知は2,666.4ミリ

気象庁による1991~2020年の年降水量平年値は、高松が1,150.1ミリ、高知が2,666.4ミリ。県平均ではなく、それぞれの観測地点の値だ。気象庁は、南からの湿った空気が四国山地で上昇し、太平洋側に雨をもたらす一方、瀬戸内側は山地の陰で雨が少なくなりやすいと説明している。

両地点とも、梅雨の6~7月と秋雨・台風の9月に降水量が増える。農業で必要なのは、年の合計だけでなく、作物が水を必要とする時期に水を使えることだ。

香川では、ためた水を時間で分けた

農林水産省によると、香川の川は短く傾斜も急で、雨が海へ流れやすい。ため池が多いのは、この水をとどめておくためだ。代表例の満濃池は、古くから改修を重ねながら農地を潤してきた。

ためた水を配る方法にも工夫があった。農林水産省が紹介する「水ブニ」では、田の面積などに応じて配分を決め、線香を燃やす時間で取水を区切る方法も使われた。下流まで水を届けるには、池に加えて、誰がいつ使うかという取り決めが必要だった。

雨の多い高知でも、用水路が必要だった

高知県の資料によると、物部川右岸の山田堰井筋は約2,000ヘクタールの農地をかんがいしている。慢性的な用水不足に対応するため、川から水を取り入れる頭首工と、約26キロの幹線水路が整備された。降った雨を、必要な農地で安定して使えるようにするための施設だ。

一方、県の物部川清流保全計画は、農業用水の取水とともに、川の水量不足や流れが途切れる「瀬切れ」も課題に挙げている。農地に届ける水と、川に残る水の両方を考えなければならない。

香川のため池と高知の用水路は、いずれも水を必要な場所と時期へ届けるために使われている。雨量の差を知ったうえで施設をたどると、貯水や配分、維持管理の仕事まで見えてくる。

資料の読み方。雨量は高松・高知の観測地点の平年値、用水は個別の施設の事例です。各県の全域を代表する比較ではありません。

出典と関連データ