へぎそばに入る、織物にも使われた海藻
へぎそばのつなぎは、海藻の布海苔(ふのり)だ。農林水産省の郷土料理記録では、魚沼地方発祥とされ、木製の四角い器「へぎ」に盛るそばとして紹介されている。布海苔は、織物の糸を張る工程でも使われていた身近な材料だった。
織物にも使う海藻を麺に取り入れたところに、土地の仕事と食べ物のつながりがある。布海苔を加えた麺は、つるりとした口当たりと弾力が特徴だ。
一口ずつ並べる盛り付けも、へぎそばの形
麺を一口分ずつ手振りし、器に並べる。へぎそばは、つなぎに加えて、この盛り付けにも特徴がある。農林水産省の記録には、魚沼でわさびの代わりにからしを添える風習も載っている。
津軽そばは、そばがきから麺を打つ
津軽そばでは、大豆がつなぎになる。農林水産省の伝統食図鑑がこの材料を紹介し、弘前観光コンベンション協会は、そばがきを一晩水で冷やし、大豆粉を混ぜて麺を打ち、さらに一晩寝かせる作り方を伝えている。一度そばがきにし、水で冷やす工程を経て麺を打つ製法だ。
青森県の観光情報に掲載された食堂への聞き取りにも、そばがきを寝かせて大豆粉を加える方法が登場する。店や家庭による違いはあるが、大豆と寝かせる時間が、この伝統的な製法の要になっている。
へぎそばは布海苔を使った麺と一口ずつの盛り付け、津軽そばは大豆を加え、時間をかける生地作り。同じそばでも、材料を選び、麺に仕上げるまでの手仕事が違う。
資料の読み方。魚沼と津軽に伝わる製法の例です。材料や工程は店・家庭によって異なります。